識字率向上月間によせて

地区世界社会奉仕委員長 濱口道雄(東京RC)

 我国の識字率は統計上99.9%と極めて高く、世界に冠たる水準である。

 しかし若い世代を中心にして国語力の低下が目立つ。寺子屋教育の昔から日本の教育はまず読み書き算盤を教えることを旨とし、国語と算数にとりわけ重きを置いた。今の小学校は音楽や美術などの情操教育や良き家庭人となる為の家庭科、果ては総合の時間という我々世代にはその内容を想像も出来ない科目まで幅広いカリキュラムを持つに至った。結果的に国語や算数の教育に費やされる時間は減少することになる。それに加えて、或いはそれゆえにと云うべきか、今の若者は本に親しむことなく日刊紙を購読することも無く、インターネットや携帯のメール、TVのバラエティ番組の視聴などでひねもす過す人が少なく無い。これではいわゆる「ボキャ貧」になるのもむべなるかなである。日本人が本や日刊紙を読み自ら文字を書くという習慣を無くせば、美しい日本語は遠からずして過去のものになることは間違い無い。日本人の平均で申すならば、識字という人間として最低限必要な能力は一応備わっているものの、それを超えた国語力は確実に低下している。にも拘らず近頃は小学校のときから英語を教えて将来の国際人を養成すべきという議論がある。時期尚早の議論と云わざるをえない。

 今必要なのはむしろ自らの言語である日本語を着実に子供達に教えることである。人類の識字率の向上というグローバルな課題に比較すればこれは地球上の小さなローカルの問題かもしれない。しかし我々日本人にとっては民族のアイデンティティのひとつを失うことになりかねない重大事なのである。